2010 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴシン1リン酸のシグナル伝達を用いたアルツハイマー病の病態解析
Project/Area Number |
09F09733
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中村 俊一 神戸大学, 医学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JESKO Henryk 神戸大学, 医学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | アルツハイマー病 / アミロイドβペプチド / αシヌクレイン / スフィンゴシン1リン酸 / スフィンゴシンキナ |
Research Abstract |
スフィンゴシン1燐酸(S1P)は酵母からヒトに至る真核生物に広く存在し、血管内皮細胞や繊維芽細胞等の増殖促進作用やアポトーシス抑制能など多彩な機能を有する脂質メディエーターである。中枢神経系ではS1Pやその産生酵素スフィンゴシン・キナーゼ(SK)が豊富に存在するが、神経に特異的な機能に関しては不明であった。最近我々は微量のS1Pが海馬神経細胞から神経伝達物質の放出を引き起こすことを報告した。これらの事実は、S1Pが生理的に記憶や学習の過程で重要な役割を演じている可能性を示唆している。一方、アルツハイマー病等の認知症では神経細胞の内外でのアミロイドβペプチドやαシヌクレインの蓄積が神経細胞に毒性を引き起こし、認知症の病態に深く関与していることが報告されている。 そこで我々はこれらの認知症関連蛋白質とS1Pシグナル伝達系の接点を探ることにより、認知症の病態解析を分子レベルで行いたいと考えている。これまでに我々は、これらの認知症関連蛋白質の遺伝子の分子クローニングに成功している。今後これらのタンパク質をSH-SY5Y細胞に恒常的に発現する細胞株を樹立し、S1Pシグナル伝達系を介する神経伝達物質の放出に及ぼす影響について解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Sphingosine kinase 1 regulates mucin production via ERK phosphoryl ation2010
Author(s)
Kono Y, Nishiuma, T, Okada T, Kobayashi, K, Funada, Y, Kotani Y, Jabangeer S, Nakamura S., Nishimura, Y.
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Journal Title
Pulm.Pharmacol.Ther.
Volume: 23
Pages: 36-42
Peer Reviewed
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[Journal Article] Regulation of synaptic strength by sphingosine 1-phosphate in the hippocampus2010
Author(s)
Kanno, T., Nishizaki, T., Proia, L., Kajimoto, T., Jahangeer, S., Okada, T., Nakamura, S
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Journal Title
Neuroscience
Volume: 171
Pages: 7-13
Peer Reviewed