2009 Fiscal Year Annual Research Report
硝化抑制における飼料およびバイオ燃料作物の窒素利用効率改善方法の究明
Project/Area Number |
09F09744
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
WISSUWA Matthias Japan International Research Center for Agricultural Sciences, 生産環境領域, 主任研究員
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
T ROSE Michael 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 生産環境領域, 外国人特別研究員
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Keywords | 非生物的ストレス耐性 / ROS解析法 / GC-MS法 / ROS解析 / アスパラギン酸 / プリンアロキサン |
Research Abstract |
本研究は、イネにおける窒素、亜鉛およびリン酸の非生物的ストレス耐性に関する機構を解明する事を目的としている。植物が感知するストレスに関する代謝系の分析法やROS解析法を確立する事で、本研究以外に関しても応用できると確信している。現在、異なる栄養ストレスに対して様々なイネ品種がどのような代謝反応を示すかを温室内で比較している。 まず、リン酸に対して異なった反応を示すイネ6品種における根の浸出液成分に関して検定した結果、品種間で差異が認められた。現在、この結果を実証するため、これらの浸出液の定量化を行い、これまでと異なる酵素を用いた方法で再分析を行っている。さらに、生長培地が根の浸出液に影響を及ぼすかどうかイネ3品種を用いて、研究を進めている。収穫後、イネの浸出液を採取し、GC-MS法を用いて解析を行っている最中である。 また、イネ2品種間において亜鉛欠乏耐性に対する効果があるかどうかの研究も行っている。得られた根の浸出液はGC-MS、ROS解析および酵素活性分析を行った。亜鉛欠乏耐性のない品種IR74は、耐性をもつ品種RIL64と比べて、過酸化水素濃度が増加する事が分かった。また、代謝解析では、亜鉛欠乏条件下で生育したIR74はアスパラギン酸濃度がRIL46比べて多い事が分かった。現在、両イネ品種において、亜鉛欠乏耐性下で過剰生産されているであろうプリンアロキサンを同定する事も行っている。 さらに、増加した硝化抑制能を証明するために異なる遺伝子型を持つイネ品種から根の浸出液を採取し、GC-MS、ROS解析および酵素活性分析を用いて、浸出液の成分の特定も行っている。これらの解析方法を用いる事によって、同じく日本学術研究員として硝化抑制に関する研究を行っているPierfrancesco Nardiと共に、将来的に、浸出液を液体クロマトグラフィー技術を用いて、硝化抑制を示す成分を識別する事が可能であると考えられる。
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