2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DOUKAS Jason 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | ブラックホール / 高次元時空 / 準固有振動 |
Research Abstract |
ブラックホールの現象論を展開するためには、ブラックホールの準固有振動を知る必要がある。そのためH22年度の研究もブラックホールの準固有振動に焦点をあてて研究を進めた。まずH21年度に完成した漸近的反復法(Asymptotic Iteration Method : AIM)によるブラックホールの準固有振動を求める方法を論文にまとめ、発表した。その後、回転する高次元ブラックホールで回転パラメーターが複数個ある場合に着目し、その準固有振動の解析を中心に進めた。その結果、いくつかの重要な成果を得た。 1.時空が5次元あるいは6次元のカー・ドジッター(あるいはカー・反ドジッター)ブラックホールで2つの独立な回転パラメーターが存在する場合を考え、AIM法を使ったスカラー場の準固有振動を求める方法を定式化した。さらに、宇宙定数がゼロの場合、すなわちマイヤーズ・ペリー解(カー解の高次元拡張解)の場合を考え、回転が比較的小さいという近似の下に準固有振動を求めた。その際必要となる、角度固有関数の固有値は、回転パラメーターを展開パラメーターとする摂動展開の下に導出した。 2.時空次元Dが10あるいはそれ以下のすべての次元におけるマイヤーズ・ペリー解の事象の地平面の厳密な存在条件を導出した。それと同時に、これらのブラックホールに粒子を打ち込んで裸の特異点を持つ解を作れるか、という問題に関して、その回転軸に直交する[(D-1)/2]次元の赤道面上から粒子を打ち込んだ場合は、裸の特異点が決してできないことを示した。
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Research Products
(2 results)