2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09749
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 節 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DOUKAS JASONANDREW 京都大学, 基礎物理学研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | 高次元時空 / ブラックホール / 準固有振動 |
Research Abstract |
昨年度までに高次元時空の回転パラメーターが一つの回転ブラックホールに関する性質がほぼ解明できた。そこで、今年度は複数の回転パラメーターを持つ高次元時空の回転ブラックホールの分析を集中的に行った。この解析は、現在稼働し始めているLHCなどの高エネルギー加速器実験での高次元時空理論に基づくブラックホール生成理論の検証にとって、極めて重要な意味を持つ。 まず、5次元時空におけるde Sitter(またはanti-deSitter)空間中の回転ブラックホール上のスカラー場の波動方程式の一般表式を導いた。そして、それを変数分離し、その角度成分が角運動量は2つの自由度があるにも関わらず、1つの回転楕円波動方程式で表されることを示した。そして、回転パラメーターに関して摂動の6次までを解き、連分数法による数値解と比較し、摂動計算の精度を検証した。 次に、漸近的逐次法によるブラックホールの準固有振動を求める方法の有効性について、とれまでの成果をまとめ、より統一した論議を展開した。特に、この方法が回転ブラックホールや電荷をもつブラックホールのどちらにも統一的に適用できることを示し、具体的にスピンが0, 1/2, 2を持つそれぞれの波動に対する回転ブラックホールの準固有振動をこの方法で求め、それらが以前に別の方法で求められた4次元回転ブラックホールの答えと一致することを確かめた。これにより、この方法の妥当性とその高次元回転ブラックホールに対する有用性を確認できたことは重要な成果である。 以上の2つの成果は現在、それぞれ査読付き学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の回転パラメーターを持つ高次元時空の回転ブラックホールに関する解析が予定通り進んだ。これにより当初の目標であった、高次元ブラックホールの現象論に関する統一的・基礎的知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
量子情報理論は、量子コンピューターへの期待と相まって大きな注目を浴びているが、ブラックホールの現象論は、量子情報理論に数多くの知見を与える。そこで、今後はしばらくの間、ブラックホールの現象論の研究で得た経験や成果の基に、相対論的情報理論を展開したいと考えている。
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Research Products
(4 results)