2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経軸索の成長と誘導を制御する機能分子群のプロテオーム解析
Project/Area Number |
09F09767
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上口 裕之 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経成長機構研究チーム, チームリーダー
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ERIKSSON Cecilia Gunborg 独立行政法人理化学研究所, 神経成長機構研究チーム, 外国人特別研究員
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Keywords | 神経 / 軸索 / ガイダンス / 環状ヌクレオチド / プロテオミクス / リン酸化 |
Research Abstract |
細胞外環境に存在する様々なガイダンス分子は、軸索先端部(成長円錐)での非対称的なカルシウムイオン(Ca^<2+>)シグナルを介して、軸索の伸長方向を制御する(軸索ガイダンス)。成長円錐の片側の細胞質でCa^<2+>濃度が上昇すると、成長円錐は高Ca^<2+>濃度側もしくは低Ca^<2+>濃度側へ旋回して新たな方向へ移動する。環状アデノシンーリン酸(cAMP)依存性キナーゼが活性化された状況では成長円錐は高Ca^<2+>濃度側で回り込み、環状グアノシンーリン酸(cGMP)依存性キナーゼが活性化された状況では成長円錐は低Ca^<2+>濃度側へ回り込む。このように軸索誘導の方向性は少なくとも2種類の細胞内シグナル分子(cAMPとcGMA)により拮抗的に制御されており、cAMPとcGMAの下流シグナル(特にタンパク質リン酸化)が軸索誘導の極性を決定する鍵である。 平成21年度11月末に着任した外国人特別研究員は、ニワトリ胚由来の脊髄後根神経節神経細胞の分散培養法を習得し、cAMPあるいはcGMA漁経路を選択的に活性化/不活性化するための薬剤の選択とその至適濃度を決定した。今年度中に、これら培養神経細胞でリン酸化状態が変化するタンパク質を網羅的に同定するための実験を開始する。研究代表者らが開発した方法(Nabetani et al.,Proteomics 2009)を用いて、リン酸化ペプチドを濃縮して定量的リン酸化プロテオーム解析を行い、cAMP依存性キナーゼとcGMA依存性キナーゼでリン酸化制御を受けるタンパク質群を同定していく。
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