2009 Fiscal Year Annual Research Report
民族紛争に対処するためのグローバル・ガバナンスにおける歴史的・心理的遺産
Project/Area Number |
09F09777
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武内 和彦 The University of Tokyo, サステイナビリティ学連携研究機構, 副機構長
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LASAS Ainius 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 外国人特別研究員
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Keywords | コソボと独立 / 歴史的・心理的要素 / 欧米・大西洋協力と国家建設 / アメリカ外交政策 |
Research Abstract |
2009年10月~12月 コソボ紛争と独立までの道のりが国際社会でどのように報道されたのかLexis Nexis Academic Universeデータベースを使用して調査した。プレカズの攻撃(1998年3月5日)、ラチャクでの虐殺(1999年1月15日)、そしてコソボ全域での暴力事件(2004年3月17日-20日)などのすでに予測していた重大局面に加え、さらに第2期ブッシュ政権の組閣(2005年1月)がコソボ独立に向けての交渉を開始する転機のひとつであったことを確認したが、最終結論には至っていない。 2010年1月~2月 コソボ問題に関する学術文献や個人の体験談の包括的な調査を行い、上記の事件が転機として重要であることを確認した。ただしこれまでの調査は旧ユーゴスラビアに関する背景情報が主であり、またコソボでの進展に関する異なる見方を調和する必要もあるため引き続き文献および個人体験談の調査を継続する予定である。 2月11日~3月10日 米国とヨーロッパへ研究目的のため出張。欧米の対コソボ政策に携わった政治家や外交官とのインタビュー、また米国国会図書館(ワシントンDC)、欧州委員会中央図書館(ブリュッセル)で公文書の文献調査を行い、貴重な一次・二次資料を得ることができた。外交官のインタビュー内容には様々な見解があったため、事実関係を明確にするべくコソボ問題の2つの重要な時期(2004年3月~5月と2005年2月~4月)に関する書類の情報公開申請を米国国務省へ提出した。 またコソボ問題を基に調査表(アンケート)を作成した。これは歴史的・心理的要素が、特定の紛争に関する第三者の意識を形成する上で重要な役割を果たし得るのかを調べるためである。調査表は米国ワシントン大学(シアトル)に送られ、政治学科学部生47人から回答を得ている。研究調査は引き続き行われている。
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