2010 Fiscal Year Annual Research Report
電子顕微鏡による細菌べん毛など生体超分子の構造解析
Project/Area Number |
09F09783
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
難波 啓一 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RUAN Juanfang 大阪大学, 大学院・生命機能研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | べん毛 / 構造解析 / トモグラフィー |
Research Abstract |
細菌の運動器官であるべん毛は、細胞外に細長く伸びたらせん型繊維のべん毛と、その根元の細胞膜を貫通する構造の基部体からなり、基部体は回転モーターとして、べん毛繊維はらせん型プロペラスクリューとして働く。モーターの直径は40nm程で、毎分数万回する高速モーターである。モーターは固定子と回転子からなり、固定子はイオンチャネルで、細胞外から細胞内へ流れる水素イオンのエネルギーによって回転を駆動する。本研究の目的は、凍結水和試料の低温電子顕微鏡像の解析により、モーターの立体構造を解析し、べん毛モーターのトルク発生や回転方向スイッチのメカニズムを解明することである。 Juanfang RUAN研究員は、フランスCNRSの共同研究者Long-Fei Wu博士のグループが地中海から採取して単離と培養に成功した、MO-1株と呼ばれる磁性細菌のべん毛について、低温電子顕微鏡による構造研究を進めた。MO-1株は大腸菌の10倍にもおよぶ300μm/sの超高速で泳ぐ。これはMO-1株のべん毛が複数のべん毛を一つの鞘の中に束ねたユニークな構造によるものであるらしい。MO-1株の培養条件は特殊で当初は培養が困難であったため、まずWu博士の研究室を訪問して培養条件を学び、さらに研究室で工夫を重ねて培養条件と単離精製法を確立した。そして、MO-1株の細胞や単離したべん毛を急速凍結したグリッドを作成し、昨夏に設置完了したFEIのTitan Kriosと呼ばれる低温電子顕微鏡を用いて低温電子線トモグラフィーによる立体構造観察を進めた。急速凍結試料の作成条件を丹念に探索した結果、目標とする構造部分の立体像が効率よく得られるようになり、7本のべん毛が束となって一つの鞘に包まれ、べん毛繊維間を数多くの細いフィブリルが埋めている様子や、根元で7個の基部体が並んでいる様子、そしてべん毛の束を包む鞘を構成する蛋白質分子のらせん対称性配列などを次々と明らかにした。
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Research Products
(2 results)