2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機触媒を有いた新反応の開発とナカドマリンの全合成研究
Project/Area Number |
09F09785
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹本 佳司 京都大学, 薬学研究科, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
STADLER M. 京都大学, 薬学研究科, 外国人特別研究員
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Keywords | ナカドマリン / 不斉全合成 / 不斉マイケル付加反応 / プロリノール触媒 / 水中反応 |
Research Abstract |
昨年度に引き続きナカドマリンの不斉全合成研究を行った。 昨年度の結果より、ピロリジノン環を有する環状β-ケトエステルの不飽和アルデヒドへの共役付加反応は、どのようなプロリン誘導体を用いても付加体は得られるものの立体選択性を向上させることはできなかった。そこでプロリン誘導体で実績のあるマロン酸エステルを求核剤に変更し、不飽和アルデヒドへのマイケル付加反応を検討した。その結果、常法に従い3級水酸基をTBS基で保護したプロリノール誘導体を触媒として有機溶媒中で反応を行ったが、立体選択性は向上したものの反応が遅く中程度の収率でしか反応が進行しなかった。そこで更なる条件検討を行ったところ、水中で反応を行うことにより、98%eeというほぼ完壁な選択性で目的物が収率良く得られることを見出した。さらに、得られた付加体と1級アミンを還元的アミノ化、それに続く分子内ラクタム化により6員環ラクタムへと変換後、パラジウムを用いた1,4-ブテンジオールモノアセテートとのジアステレオ選択的なアリル位アルキル化により、4級不斉炭素の構築にも成功した。現在この生成物の立体化学の決定を行っている。 さらに全合成に関しては、以下の二つの合成ルートを検討した。1つ目は、生成物のアリルアルコール部位をOverman転位反応に附すことでアミノ基を導入、分子内のエステル基との環化により、重要中間体である二環性ラクタム体へと誘導した。2つ目のルートとして、生成物のエステル部位を1級アミンとの縮合によりアミドラクタム体へと変換した。現在、この化合物に対して2度目のパラジウム触媒を用いた分子内アミド化反応を利用して、窒素上に必要なアルキル側鎖を既に含んだ二環性ラクタム体への誘導を検討中である。
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Research Products
(1 results)