2009 Fiscal Year Annual Research Report
グローバル時代の日本映画、とりわけアニメの表象変容
Project/Area Number |
09F09787
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
四方田 剛己 Meiji Gakuin University, 文学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZAHLTEN Alexander 明治学院大学, 文学部, 外国人特別研究員
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Keywords | メディアミックス / トランスメディア / トランスナショナリズム / コンテンツ産業 / アニメ / 可能世界論 |
Research Abstract |
2009年10月から2010年4月まで行われている研究の結果の一つとして、日本のメディア研究の中で現象学的な視点が潜在的に現在とても盛んであるということが明らかになった。特にニュー・メディアとコンテンツ産業の変化について行われている研究は1920年代の現象学の哲学枠組みを使い、あそこ中心的だった「可能性」や「世界」という概念を非常に頻繁に取り扱っている様である。しかし同時にアニメを中心にしているコンテンツ作品のトランスナショナル(国家的な枠を超える)、又はトランスメディア(一つのメディアに限らず様々なメディアで登場する)的な側面はあまり分析されていないのが現状である。この奇妙な食い違いはこれからこの研究プロジェクトの大切な焦点の一つになる。 しかしもう既に「アニメ」は国家、ジャンル、そしてメディアの枠を超え、根本的にトランスナショナル/トランスメディア的な存在なっているのは(産業的な面でも、作品分析的な面でも)大変重要なポイントであるのが明らかになった。漫画からゲームにされた後アニメになるというパッターンが増えており、ゲームというメディアの作品構造はアニメに深い影響を与えていることが見えて来た。最近増えている傾向は、物語や視点を微妙に変えながら何回もの繰り返しによって物語世界を増加させ、ゲーム的な構造を働かせる事である。しかし作品内だけではなく、様々なメディアで登場しているトランスメディア作品の物語世界は、それぞれのメディアでも微妙に違う。このように一つの作品の中、そしてそれぞれのメディア間にいくつもの世界ができ、いくつもの世界が可能になるによって「可能性」の意味が変化する。こういったメディア環境が発展する中で、消費者の現実感が影響を受け、これからこの現象をもっと細かく分析するのは重要だと考えられる。
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Research Products
(3 results)