2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小液滴の形成、移動、混合等をおこなうマイクロシステムの研究
Project/Area Number |
09F09802
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤田 博之 The University of Tokyo, 生産技術研究所, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DAUNAY Bruno 東京大学, 生産技術研究所, 外国人特別研究員
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Keywords | マイクロ流体工学 / 液体誘電泳動 |
Research Abstract |
プロジェクトの目的は、大規模なバイオアッセイのために液体誘電泳動を利用することによって、小さな水滴の中に含まれるバイオ試料を操作することにある。バイオ試料の操作とは、つまり細胞や分子が含まれる導電性溶媒を扱うということである。しかしながら、今まで液体誘電泳動(LDEP)を利用した方法は非導電性溶媒でしか行われていない。この動作原理は、まず2つの電極間に電場を発生させる。そして電圧と周波数をかけることによって力が支配的なエリア内に液体を引きつける方法である。溶媒が導電性である場合は電界が液中に侵入しがたいため、駆動に必要な十分な力を得ることができない。そこで本研究では、少数の液体に限定されていたこの方法を、多くの種類の液体を扱えるように拡張することで科学技術の進歩に資することを目指す。もし駆動電圧が十分な強度の高周波ならば、導電性の溶媒は非導電性の溶媒として考えることができる。以上の点と高電圧によるバイオ試料の破壊を防ぐ必要を考慮すると、液体と基板の間にかかる力が最小でバイオ試料を駆動できるようにしなければならない。電極の形状および使用される材料の厚さを様々に変更したいくつかのデバイスを作り、実験を行う。これらの結果を比較してまとめることで、一番良いデザインを決めることができる。さらに溶液と電極を絶縁する誘電層を、表面張力を抑えるように最適化する必要がある。最適化するとジュール加熱を最小限に抑えられ低電圧での駆動が可能になるだろう。その次のステップとして、低表面張力の実現のため最適化されたLDEPデバイスと、マイクロ流体システムとを組み合わせる。この組み合わせた実験系を用いる事で、バイオ反応の観察に適した多くの液体を扱えることになる。より実際的にするために、複数の水滴を混合するための電極群を備えたデバイスが望ましく、これは今後研究を進める。
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