Research Abstract |
・異なる気候条件の下での移動性擾乱の振舞とそれを通じたストームトラック形成の違いを力学的に理解するため,現実的な地形を与えた大気海洋結合全球気候モデルによる数値実験データの解析を行なった.ストームトラックに付随して存在する極前線ジェットの形成過程に着目し,ストームトラック上で発達する移動性波動擾乱が関わる様々な物理過程,即ち,降水に伴う潜熱解放,渦度や熱の南北輸送,地表面との熱交換等の各効果による西風加速量の分布と強度を比較した.特に,氷河期などでは海面水温が現在よりも低く,下層の水蒸気量も少ないため,降水に伴う潜熱解放効率もかなり変化するため,それはジェット気流の加速・減速効果にどれほどの影響をもたらすかを吟味した. ・同様な観点から,移動性の温帯低気圧がもたらす寒候期の降水帯形成が,異なる気候条件下でどう異なるかを理解するため,上記の全球気候モデルの実験データに基づき,水蒸気収支解析を実施した.特に,移動性擾乱と停滞性循環偏差の寄与を分離するため,dailyの出力データに時間フィルタを施し,解析を行なった.また,海面からの蒸発についても,水温・気温・相対湿度・海上風,各々の変化の寄与を明確に分離するような解析を実施した.
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