2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09F09815
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
大阿久 俊則 東京女子大学, 現代教養学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ARCADIAS Remi 東京女子大学, 現代教養学部, 外国人特別研究員
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Keywords | 代数学 / D加群 / 自由分解 / フィルター / 多重指数 / 可換代数 |
Research Abstract |
可換代数においては,次数付き環の上の次数付き加群の概念が基本的である.次数付き加群を考察することにより,次数,重複度,極小自由分解などの不変量を定義することができる.この概念は複数の次数付けが与えられた場合,すなわち多重次数付き加群に拡張することができ,特に多重次数と呼ばれる不変量が定義される.この多重次数は最近SturmfelsとMillerによりトーリックイデアルの場合に組み合わせ論的な観点から研究された,さてD加群は非可換環である微分作用素環の上の加群であるから,直接可換代数の概念を適用することはできない.そこでD加群に対して2つの重要なフィルターである階数フィルターと柏原-MalgrangeによるVフィルターによる2重フィルターを導入し,それらに関する次数付き加群を考察することで,D加群に対する2重指数を定義した.しかし与えられたD加群に対する2重フィルターの取り方は一意的ではないため,このように定義したD加群の2重指数がD加群としての不変量であるかどうかは自明でない.Y. LaurentとMonteiro-Fernandesにより導入されたD加群の2重フィルターに関する論法を拡張することにより,最終的にD加群の2重指数が2重フィルターの選び方によらずD加群としての不変量を与えることが証明できた. 次に整数行列Aから定まるA超幾何系と呼ばれるD加群に対して,その2重指数を考察した.まずコンピュータ(数式処理システム)による計算実験を遂行し,多くの例について2重指数を具体的に決定した。同時に理論的な研究も遂行し,特にAの定義するトーリックイデアルが斉次でCohen-Macaulay条件を満たす場合にA超幾何系の2重指数を特徴付けることに成功した. 以上の研究は,研究代表者の助言の下に研究分担者(外国人特別研究員)が遂行し論文としてまとめて学術雑誌に投稿した.特に上記の不変性の証明は研究代表者が概略を示唆したものである.
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Research Products
(1 results)