2010 Fiscal Year Annual Research Report
抗MRSA活性を有する新規天然物群の全合成研究と創薬研究
Project/Area Number |
09J00005
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
小嶋 康裕 北里大学, 大学院・感染制御科学府, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 抗MRSA活性 / Dotz反応 / 鈴木-宮浦反応 / ビフェニル / テトラセン骨格 / キノン |
Research Abstract |
MRSAは代表的な薬剤耐性菌であり、すでに既存の抗菌薬に対する耐性菌も出現している。このことから耐性菌の薬剤耐性機構を標的とする、新規抗MRSA治療薬の開発が急務とされている。そのような背景の中、北里生命科学研究所においてβ-ラクタム剤耐性機構を標的とした新規阻害剤の探索が行われた結果、Naphthacemycin類(17種の新規化合物)が単離された。単離された天然物は全て、0.5μg/mlの併用によってイミペネムの活性を増強し、そのうちいくつかの天然物は単独で抗MRSA活性を有することがわかっている。 本研究の最終到達点は、薬剤耐性機構を克服した新規抗MRSA薬の創製である。即ち、単離された化合物群の誘導体を合るこで然物より優れた化合物を創製することである。天然物から直接誘導化できない化合物については全合成中間体に対し必要な官能基を組み込むことでその誘導体合成を目指す。また、誘導体を合成することで構造活性相関、作用機序の解明も行う。 以上のことからNaphthacemycin類の全合成研究に着手した。まず、これらの天然物のうち抗MRSA活性が強く、X線全合成に先駆けてnaphthacemycin-A_9のモデル化合物の合成を行った。市販の4-ブロモアニソールに対しクロム化を行いクロムカルベン錯体とした後に、ボロン酸エステルを有するアルキン体としデッツ反応、その後市販のレゾルシノールから調製したA環ユニットとの鈴木-宮浦反応を行った。次に酸を用いたB環の環化を試みたところ、望みの6員環ではなく5員環を構築した化合物が得られることがわかったが得られた5員環体はルイス酸を用いることで環の巻き直しが起こった後、生じたフェノールが空気酸化を受けキノンメチド体へと変換された。続いてキノンメチド体に対して過酸化水素を用いたエポキシ化を行った後に、二価の酸化銀と硝酸を用いてフェノールエーテルの酸化を行いキノン体を得ている。現在キノン体に対し種々条件検討を行い、モデル体の合成を目指している。
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Research Products
(1 results)