2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00012
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 和也 Hokkaido University, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有性生殖 / ネギアザミウマ / 性の進化 / 単為生殖 / 性比 |
Research Abstract |
ネギアザミウマは世界的に分布するネギ・タマネギなどの大害虫である。これまで国内に分布するものはメスのみで単為生殖で増えていると考えられていたが近年鳥取をはじめ各地で雄が発見され、有性生殖していることが予想された。そこで単為生殖系統と有性生殖系統がどのような環境に生息しているのかを調べることで、性の意義を検証できると考え、国内各地(北海道・千葉・福井・京都・鳥取・佐賀)でネギアザミウマのサンプリングを行った。結果、雄の出現率は各地で異なっていることが分かった。このことは各地点でそれぞれの系統の有利性が異なっていることを示唆する。より詳細に両者の関係を解析するため、ミトコンドリアCOI領域および複数のマイクロサテライト領域を増幅するためのプライマーの開発を行った。現在得られたサンプルからDNAを抽出し、順次解析にかけている。また、一部のサンプルに関しては飼育下で有性生殖のコストおよびベネフィットを実測するため、個別に飼育し、複数の系統を作出した。これらの過程で道内では初確認となるネギアザミウマの雄を発見し、これに関しては論文を執筆中である。雄の発見と同時に道内でネギアザミウマのピレスロイド系薬剤への抵抗性が確認され、有性生殖系統との関連が疑われる。当初予定していた有性生殖の性比に関する理論的研究はシミュレーション解析を行い、執筆・投稿したものの残念ながら類似した内容の先行研究を指摘され掲載には至らなかった。
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