2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00012
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 和也 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ネギアザミウマ / 有性生殖 / 適応度 / 性比 / マイクロサテライト |
Research Abstract |
ネギアザミウマは世界的に分布しネギだけでなくキャベツやアスパラガス、タバコ、カーネーションなど幅広い作物を加害する微小昆虫である。ネギアザミウマにはいくつかの系統が存在することが推察されており、一部は有性生殖を行うが、多くは単為生殖だけを行っている。この両者の適応度を比較することで性の意義を検証するため、遺伝解析を行ってきた。平成22年度においては、ネギアザミウマのマイクロサテライト領域の開発、遺伝子頻度の実測、集団間の遺伝的隔離の程度を実測し、ネギアザミウマにおける集団構造の解析を行った。その結果、有性系統と無性系統が遺伝的に隔離している事が示された。また、ネギアザミウマの有性系統と無性系統間には形態差が乏しく、形態の基づく識別が著しく困難なことから、両者を遺伝的に判別するためのプライマー開発を行い、作成したプライマーを用いて両系統の発生頻度をタマネギ圃場ごとに解析した。これらのデータに加えて、平成21年度に発見した道内におけるネギアザミウマの雄が圃場ごとに出現頻度が異なる事実を組み合わせ、それぞれの圃場における雄の比率がマイクロサテライト遺伝子から推定される近交係数から理論的に予測される性比の偏りと一致するかどうかを解析した。これらの結果はこの研究の最終目標である性比と有性生殖のコストの関係を明らかにするための重要な基礎情報であり、今年度の総まとめにつながる重要なデータであると考えられる。
|