Research Abstract |
1年目では,制御工学とパワーエレクトロニクスを結びつけたマルチレートPWM制御技術を確立し,精密実験ステージにおいて超高速ナノスケール位置決めを実現した。そこで2年目では,制御工学という分野を中心に,パワーエレクトロニクスのみならずメカニクス,センサという分野を融合し,これらを総合的に考慮したマルチレート制御設計を構築した。 センサの分野においてしばしばエンコーダの量子化誤差が問題となり,高分解能エンコーダを用いている精密ステージでさえも例外ではない。そこで,マルチレート制御技術を用いて既存の瞬時速度オブザーバより優れたマルチレートオブザーバを提案し,より精度のよい速度,外乱推定を実現した。この成果については「IEEE International Symposium on Industrial Electronics,口頭発表,2010年7月6日」にて発表した。 また,メカニクスの分野に着目すると,精密ステージのその機構から共振モードが避けられない。特に大型精密ステージでは,剛性の低さから低い周波数域に共振モードが表れるため,制御帯域を下げざるを得ない。したがって,共振モードは制御性能の向上にとって非常にやっかいな障害となる。そこで,従来は負荷側であるテーブル部のみのセンサを用いていたが,モータ側のセンサも用いることで設計自由度を増やし,高帯域化と安定化のトレードオフを打ち破った新しいフィードバック設計理論を確立した。この成果については「第39回制御理論シンポジウム,口頭発表,2010年9月28日」および「電気学会産業計測制御研究会,口頭発表,2011年3月8日」にて発表した。また,第39回制御理論シンポジウムの発表に対して,2010年度計測自動制御学会学術奨励賞(技術奨励賞)および2010年度計測自動制御学会制御部門研究奨励賞を受賞した。
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