2009 Fiscal Year Annual Research Report
多機能性複合錯体を用いる不斉四置換炭素の高効率的合成法の開発研究
Project/Area Number |
09J00073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢崎 亮 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 触媒的不斉反応 / 光学活性三級アルコール / アトムエコノミー / 環境調和型反応 |
Research Abstract |
光学活性アルコールは医薬品をはじめとして私たちの生活に無くてはならない化合物群であります。その中でも光学活性三級アルコールは、いまだに効率的な合成法が限られており、その研究開発が強く望まれていました。さらにこの三級アルコールは、合成法が比較的多く報告されている光学活性二級アルコールの合成法である不斉水素化反応では合成することができません。そのため近年ではその合成法の開発研究が盛んに行われております。最近になり、少量の反応促進剤(触媒)を用いる合成法が報告されています。しかしそれらの反応は目的の化合物を得るために多くのゴミとなる廃棄物ができてしまい、環境調和型の反応とはいえないものでした。今回申請者は世界に先駆けて、光学活性三級アルコールを廃棄物を出すことなく効率的に合成する方法を開発しました。触媒として埋蔵量の多い銅を用いて、アリルシアニドとケトンとの反応が高立体選択的に進行することがわかりました。得られる光学活性三級アルコールはその後様々な化合物へと変換が可能であり、今後種々の医薬品合成への適用が期待されます。またこの反応のメカニズムを詳しく調べることで、さらに高い活性をもつ触媒の開発に成功しました。具体的には触媒の量を十分の一にまで減じても反応は円滑に進行し、99%以上の選択性で光学活性三級アルコールを得ることができました。今後はこの開発した触媒を用いて、様々な廃棄物を生じない環境調和型の反応を開発する予定であります。
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Research Products
(7 results)