2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00082
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
木村 俊成 横浜国立大学, 工学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | モデル生体膜 / 脂質二重膜 / 表面構造制御 / ラフト構造 / サファイア表面 / 酸化物単結晶 / 生体固体界面 |
Research Abstract |
細胞膜はラフトと呼ばれる機能性物質の集まったマイクロドメイン構造を形成させることで生理機能発現やその調節を行っていることが知られている。細胞膜の機能解析やバイオデバイスへの応用のため、モデル生体膜の研究が盛んに行われている。基板表面に支持された人工膜は構造が安定であり、固体表面の解析手法が適応できるという利点がある。モデル生体膜を支持する表面として単結晶サファイア表面に注目した。サファイアは化学的に不活性であり機械的にも高い強度を誇る。溶液環境中においてもサファイア表面の原子構造が維持されるため、生体分子を扱ううえで適した基板である。本研究では固体表面による生体分子挙動の制御を目標とし、サファイア表面の原子構造を制御することによるモデル生体膜の形成制御やラフト構造の形成を目的とした。 本研究の成果として、原子配列を制御したサファイア表面において、構造的及び化学的に相分離した表面を設計することに成功した。二方向の原子ステップが交差した表面を形成させることで親水性や表面電荷の異なる領域に相分離した表面を形成させることを実現した。構造的,化学的に相分離したサファイア表面を用いることで基板支持脂質二重膜の位置選択的な形成制御や二種以上の脂質分子を含む支持膜の相分離構造制御を実現した。さらにラフト構造の位置選択的な形成に成功した。 本研究の成果により、固体表面の原子構造を設計することでその上に形成する生体分子との界面および相互作用を制御する技術を確立した。固体表面を化学的に修飾するのではなく、固体表面そのものによる生体分子挙動の制御は本研究が初めての試みである。
|
Research Products
(9 results)