2009 Fiscal Year Annual Research Report
グラム陰性菌由来リポ多糖に対する植物自然免疫の解明
Project/Area Number |
09J00086
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
武藤 さやか Kagoshima University, 連合農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | リポ多糖 / シロイヌナズナ / 自然免疫 / 生育阻害 / LPS-binding protein |
Research Abstract |
私は、植物におけるリポ多糖(lipopolysaccharide ; LPS)認識機構の解明を目標に研究を進めている。現在、シロイヌナズナが持つリポ多糖結合タンパク質2(A. thaliana LPS-binding protein2 ; AtLBP2)に注目している。AtLBP2変異株にLPS処理を行い、耐病性関連遺伝子PR1の発現上昇をRT-PCRで調べた。その結果、AtLBP2変異株では野生株に比べ、早期にPR1発現が上昇することを明らかにした。植物のLPS認識にAtLBP2が関わっている可能性が強まったといえる。また、全長AtLBP2発現ベクターを導入した大腸菌が、発現誘導に伴い死滅する現象を確認した。AtLBP2が抗菌活性を持っている可能性がある。 更に、LPSがシロイヌナズナ発芽に対して生育阻害効果を持つことを発見した。生育阻害効果はLPSの種類によって大きく異なっていた。シュードモナスとクレブシエラ由来LPSは75μg/mlで生育阻害効果を示したが、大腸菌由来LPSは1000μg/mlでも生育阻害効果を示さなかった。そこで、LPSが誘導する生育阻害と自然免疫の関係を調べた。まず、シロイヌナズナ発芽に各LPSを処理しPR1発現上昇を調べた。更に、シロイヌナズナ培養細胞に各LPS処理を行い、細胞が放出する活性酸素種の発生強度を調べた。その結果、シュードモナスとクレブシエラ由来LPS処理により自然免疫は誘導されたが、大腸菌由来LPS処理では誘導されなかった。つまり、生育阻害と自然免疫を誘導するLPSが一致していた。これにより、LPSによる生育阻害が、自然免疫誘導の指標として有効であることが分かった。本研究をまとめた論文は現在投稿中である。本研究成果は、シロイヌナズナ変異株を用いたLPS受容体スクリーニング法として応用が期待できる。
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Research Products
(6 results)