2009 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム貧困家庭における子どもの経済的貢献と階層移動:教育と労働の両立の可能性
Project/Area Number |
09J00087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勢村 かおり 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ベトナム / 貧困 / 生涯教育制度 / 子ども青少年の就労 |
Research Abstract |
本年度は、(1)本研究の理論的枠組みの大枠を定めること、(2)現地における資料収集とその整理を中心とした研究活動を、また(3)来年度の調査への準備としての予備調査を行うことを目的としていた。 (1)に関して、修士論文の成果を踏まえた上で、博士論文研究の理論的枠組みを定めることとしていたが、研究対象であるベトナムの教育制度や実態に関する情報が圧倒的に不足しており、研究の詳細で具体的な方向性を確定するには、想定していた以上の時間を要した。このため、本年度の研究発表に関しては、主に修士論文の知見(主にベトナムの貧困児童に対する初等教育機会)の発表にとどまった。 (2)と(3)に関して、2009年8月より、ベトナムのホーチミン市にある持続発展研究院(旧・南部社会科学院)の社会学研究センターをカウンターパートとして研究活動を開始し、首都ハノイにある国家図書館、研究院付属の図書館およびホーチミン市総合図書館での資料収集、NGO団体での聞き取りを行い、研究および調査実施に必要な情報の収集に努めた。結果、調査対象としようとしている生涯教育センターに関しては文献が少ないながらも、独立以降のおおよその経緯を押さえることができ、結果、ベトナムにおける生涯教育は、通常比較教育学で議論されているノンフォーマル教育とは若干様相を異にする制度であることが判明した。この資料収集と並行して、3月下旬、実際に生涯教育センターに赴き、センター長や教員、生徒への聞き取り調査(予備調査)を実施した。センターへの就学状況や就労や正規学齢への遅れ、成績などの状況を部分的に把握することができ、本研究の方向性を定める上での重要な情報を得ることができた。本年度は研究活動は情報収集が主でアウトプットを出せてなかったが、今回、多くの情報を得たことは本研究の基礎および理論的枠組みを定めていく上で非常に重要であり、大きな成果である。
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Research Products
(1 results)