2010 Fiscal Year Annual Research Report
ベトナム貧困家庭における子どもの経済的貢献と階層移動:教育と労働の両立の可能性
Project/Area Number |
09J00087
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勢村 かおり 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ベトナム / 成人教育・生涯教育 / ノンフォーマル教育 / 貧困 |
Research Abstract |
本年度は、データや先行研究・資料の入手と現地調査の実施を中心に研究活動を実施した。調査対象とした生涯教育センターは、ベトナム独立以降の識字教育に由来する教育普及のための機関であり、その歴史的経緯を押さえることは、現在のベトナム社会において非正規教育がどのような意味を社会的に有しているのかを把握していく上で欠かせない。これに関して、ベトナム国家図書館や教育訓練賞付属の非正規教育研究センター、ホーチミン市教育訓練局で資料の収集、担当幹部への聞き取りを実施したが、ここで得られた情報・データは日本では未だ昭介されていないものがほとんどであり、研究を進める上で非常に重要であるといえる。さらに、本研究は貧困世帯出身の青少年の教育機会と就労を研究対象としているが、その対象抽出の場として生涯教育センターを調査のフィールドとして選択し、ホーチミン市内に数多くあるセンターから3センターを選んだ。そこで義務教育最終学年に相当する第9学年を学習している青少年すべてに質問紙による調査(面接法)を実施した。結果としては、対象となった学習者のすべてが貧困世帯の出身者ではなく、さまざまな要因によって生涯学習センターで学んでいることが明らかになったが、それらのデータは現在のベトナム社会において生涯教育が果たしている役割が変化しつつあることを示しており、ベトナムの国民教育制度全体を再検討する必要があることを示唆している。また生涯教育センターでの調査の他に、NGOや宗教団体が行う慈善教室への調査も並行して実施した。本年度はデータ収集が中心となったが、本年度得られたデータは来年度以降に研究のアウトプットを行っていく上で、非常に貴重なものであった。
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