2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高速・高分解能計測を実現する原子間力顕微鏡のナノスケールサーボ
Project/Area Number |
09J00095
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
白石 貴行 横浜国立大学, 工学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / ナノスケールサーボ制御 / 高速イメージング / アドバンスト制御 / オブザーバ / 学習制御 |
Research Abstract |
本研究では超高速・高分解能な計測を実現する原子間力顕微鏡の実現を目的としている。原子間力顕微鏡は、計測試料の表面をナノスケールで計測できる装置である。原子間力顕微鏡は、生きている生体試料の観察を行える唯一の装置であり、生体試料の観察では、試料を傷めないような高速計測が必須だが,原子間力顕微鏡の計測時間は長いことが知られており、通常、数分~十数分の計測時間がかかる。これまでに、オブザーバ、マルチレート制御、学習制御などのアドバンストな制御技術を投入することで、大幅な高速計測を実現できた。特に高速イメージングには避けて通れない、接触力の増加に対して、学習制御を取り入れたことにより、高速イメージング中においても接触力を抑圧できることを理論、実験の両面において示すことができた。今年度の取組みとして,原子間力顕微鏡のピエゾアクチュエータの高速化についてアドバンストな学習制御を提案した。通常の繰返し学習制御では,モデル化誤差がなかったとしても離散化により学習フィルタが位相誤差やゲイン誤差を持ってしまう。本研究では,マルチレート離散による安定な学習フィルタを用いて高速かつ安定に位置決めを完了させる手法を提案した。また,これまで有効な解決手法が確立されていない非最小位相連続時間系に対して,過渡中においても良好な追従特性を実現する2自由度制御系の提案を行い,実験により有効性を示した。従来法に対する改良点として,離散化により発生する不安定零点はマルチレート離散で対処し,連続時間の不安定零点は連続時間で設計された不安定な逆システムを安定なFIRフィルタで実現したことである。同手法は周波数応答を用いて設計するため設計手法が明確であり,これまで提案されてきている時間領域での設計のようなシステムの初期値に対する制約がなく,扱いやすいため今後の広い応用が期待されるものである。
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Research Products
(4 results)