2009 Fiscal Year Annual Research Report
河川改修が在来種ヤマメと外来種ブラウントラウトの種間競争に与える影響の解明
Project/Area Number |
09J00115
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
長谷川 功 Fisheries Research Agency, さけますセンター, 特別研究員PD
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Keywords | 食性 / ヨコエビ / 陸生昆虫 / 水生昆虫 / 種間競争 / 捕食 / 在来種保全 / サクラマス資源 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生息環境に応じて、在来種ヤマメと外来種ブラウントラウトの種間関係(種間競争・捕食)の様相(捕食の頻度・競争における優劣関係等々)がどのように異なるかを明らかにすることである。種間関係の様相は、生息環境の影響を大きく受けるにも関わらず、これまで、外来種の在来種に対する影響評価を行う際、「生息環境の影響」は考慮されてこなかった。本研究のように「生息環境の影響」に注目することで、在来種-外来種の種間関係をより正確に評価できる。一連の研究成果は、世界的に問題となっている外来サケ科魚類からの在来サケ科魚類の保全を達成するための、基礎的かつ重要な知見となる。 ブラウントラウトは、在来種に対する捕食・餌を巡る競争の影響が懸念されているため、本研究では、特に「餌環境」の違いに注目した。2009年度は、場所の違いによる種間関係の違いを明らかにするために、石狩川水系千歳川支流ママチ川に設定した12調査区で、ヤマメとブラウントラウトの食性を調べた。その結果、ヨコエビが生息する流域では、ブラウントラウトがヨコエビを選択的に捕食するために、両魚種の食性は大きく異なり、餌をめぐる競争はあまり生じていないと考えられた。一方、ヨコエビが生息していない流域では、両魚種の食性は重複しており、餌をめぐる競争が強く生じていると考えられた。ブラウントラウトによる捕食はほとんどみられなかった。餌環境は、場所の違いだけでなく、季節によっても大きく異なる。2010年度は、季節による餌環境の違いや、さらには河川改修が餌環境(特に、ヨコエビの生息密度)に与える影響も考慮することで、「ヤマメとブラウントラウトの種間関係に環境要因が与える影響」について、研究内容を深めていく。
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Research Products
(5 results)