2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00163
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
中村 隼明 信州大学, 総合工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 始原生殖細胞(PGCs) / 生殖系列キメラ / 凍結保存 / ニワトリ / キジ / X線 |
Research Abstract |
(1)凍結融解操作がニワトリ始原生殖細胞(PGCs)の生存性ならびに機能性へ及ぼす影響:PGCsを凍結保存するにあたり、凍結融解後に利用可能な細胞がどの程度の割合で含まれているかを把握することは非常に重要である。そこで、凍結融解操作がニワトリPGCsの生存性ならびに機能性へ及ぼす影響を明らかにした。本研究では、ニワトリ3品種より採取したPGCsを緩慢冷却法により凍結保存した結果、融解後に54.3%が回収され、このうち85.7%の細胞が生存していた。移植による機能解析の結果、生殖巣への移住能や分裂能は低下するものの生物学的な機能性を保持することが明らかになった。また、この研究からニワトリPGCsが保持する生殖巣への移住能や分裂能は、品種間で異なるという新たな知見が得られた。 (2)生殖系列キメラを介した異種個体の再生と生殖細胞発生分化の組織化学的解析:本研究では、キジを対象に、PGCsの収集・保存ならびに生殖系列キメラニワトリを利用した個体再生をおこなうことを目的とした。キジを含む野鳥では、季節繁殖性を有しており、受精卵の入手が非常に困難であった。ニホンキジでは得られた30個の胚より893個のPGCsを、また、コウライキジでは得られた24個の胚より906個のPGCsをそれぞれ収集・凍結保存した。しかし、これらは移植試験に用いるにあたって十分な数ではなく、生殖系列キメラニワトリの作出に至らなかった。従って、少数のPGCsを用いて生殖系列キメラを作出する技術を開発する必要がある。そこで、X線の照射による内在性PGCsの除去法の開発に取り組んだ。3GyのX線を照射した結果、内在性PGCsの数は無照射区21%に減少した。続いて、この胚へPGCsを100個ずつ移植し、同種間生殖系列キメラニワトリを作出した結果、ドナー由来の後代産出効率は35.5%であり、無照射区と比較して16倍向上した。この方法を応用することにより、少数の始原生殖細胞を用いて異種間生殖系列キメラを作出できる可能性がある。
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Research Products
(13 results)