2009 Fiscal Year Annual Research Report
サービスを基軸とした情報社会経済とイノベーション政策に関する研究
Project/Area Number |
09J00166
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木下 裕美子 The University of Tokyo, 学際情報学府, 特別研究員(DC2)
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Keywords | service Innovation / e-Science / Olley & Pakes method / e-Government / service R&D / cloud computing and SOA / public innovation / database linkages |
Research Abstract |
サービス産業について国際比較およびミクロデータとの連結という観点から検討するという課題に対しては、製造業では一般化しているR&Dや知識創造活動について、サービスイノベーションの創出に必要なイノベーションシステムの要素を提示したことが成果である。特に、情報技術の効果を検証するためにITインフラの技術的なクオリティを勘案できるよう新たな変数をモデルに導入した。さらに、パネルデータを検証するためのミクロモデルを提示し、経済学的な分析にとどまらず、サービス等の社会的効果を明確にできるモデルを提示した。成果はSpringerから論文が出版された。また、サービス産業の大部分を占める中小企業を対象にして、産業連関分析を通じて利潤と企業規模の関係を示した。この学会発表に対しては学会学生発表賞を受賞し、学会誌への論文投稿の推薦(全体数73本に対して上位10本に対する推薦)を頂いた。なお、知識集約型サービスについては、別途、生産性の問題を議論し、データ分析を行った。上記で議論したモデルを用いて、現在、パネルデータ分析を行っている。データは、Nikkei Needsと東洋経済が提供する財務データである。分析の結果は、博士論文の一部となるほか、2010年度にIFIP I3E 2010(国際会議)へ論文投稿する予定である。また、今年度は、電子政府のデータベース連携や行政サービス連携の技術的側面を議論し、サービスの提供に必要なITインフラ整備について提案を行った。この提案についてはWorld Computer Congress 2010(国際会議)に論文を提出したため、査読結果を待って、さらなる議論の発展に臨みたい。これらの分析全体の特徴としては、発展途上にあるサービスイノベーションという領域に対して、知識集約型サービスが中間財として経済にどのような影響な与えてきたかをパネルデータ分析で明らかにしたこと、サービス産業においては異なる生産性の向上経路かあることを議論しこと、企業規模が小さい事業体が収益な向上させている理由を日本のマクロデータと財務データを用いて生産性の観点から分析して明らかにしたこと、さらには、経済分析の結果を行政サービスの制度設計との関連において議論を発展させたこと、が成果である。2010年度は、国内の中小企業を対象として、ITの活用動向とサービスイノベーションについて調査が実施されるため、データが収集でき次第、約300-400社を対象に定量的・定性的なデータ分析を行う予定である。今年度は、全体として、3回の国際会議(フランス、アメリカ、東京)を行い、査読論文(2本、他、審査中2本)をまとめることができた。また、査読論文のうち1本はSpringerから出版されている。さらに、国際学会2件(学会は2010年度開催予定)に論文を投稿した。なお、上記の成果は、受入研究者の指導のもと、博士論文としてまとめの作業を行っており、現時点で350ページ程度(英語)を執筆した。
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Research Products
(7 results)