2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00172
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黒板 翔 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 3核子力 / 陽子・重陽子分解反応 / 微分断面積 / 短距離型3核子力 / πρ交換型3核子力 / 相対論的効果 |
Research Abstract |
本研究の目的は、理論的に予測されているρ中間子を介した3核子力の知見を、世界で初めて実験的に得る事にある。今年度は、昨年度に行った入射陽子エネルギー247 MeVにおける陽子・重陽子分解反応^2H(p,pp)nの微分断面積測定のデータ解析、並びに理論研究家との方々との議論を行った。 本データ解析では、高精度の議論に耐えうるデータとする為に従来の手法に改善を加え、解析精度を2%以内に抑える事が出来た。その為、理論計算値との比較で以下の結果を得る事が出来た。 ・測定した微分断面積は全角度領域で、理論計算値より1.5倍程度大きな値であった。 ・この結果は、過去に測定した^2H(p,p)pnの微分断面積の結果と同様の傾向である。 ・理論計算は、ρ中間子を介したπρ交換型3核子力の効果は微分断面積を下げる方向にあり、実験値との間の差を大きくする。 これらの結果より、実験値を再現する為には微分断面積を測定全角度領域にわたり大きくする事の出来るππ交換型3核子力の強度が増す必要がある。本来、3核子力はエネルギー依存性を持つ必要性がるが現在の計算では無視されてきた。本研究は、この点に対し3核子力はエネルギー依存性を持つ必要があり、更にππ交換型3核子力の効果の増大が重要な役割を果たす事を世界で初めて実験的に示唆した。また、微分断面積の角度依存性を再現する為には、相対論的効果を含んだ理論計算である事も同様に示唆した。これらの結果・データは、今後の3核子力研究にて非常に有意義なものであり、私の博士論文として最終的にまとめた。
|
Research Products
(3 results)