2009 Fiscal Year Annual Research Report
治療応用を目指したヒトES・iPS細胞からの効率的心筋分化誘導法の確立
Project/Area Number |
09J00175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
魚崎 英毅 Kyoto University, 再生医科学研究所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ES細胞iPS細胞 / 心筋分化・増殖 |
Research Abstract |
Es細胞およびiPS細胞(ESC/iPSC)を用いた心臓再生治療を実現させるため本研究を進めており、最終的な治療応用を実現する上で障壁となっているヒトESC/iPSCの低い心筋分化効率を改善させるため、新規生理活性物質の同定を目指している。 まず、マウスESCを基本的な分化モデルとした効率的なスクリーニング系の立ち上げを行った。癌特別研究領域支援班よりキナーゼ阻害剤ライブラリーの供与を受け、スクリーニングを実施した。これまでに当研究室において既に心筋分化促進物質として同定しているサイクロスポリンA(CsA)が同ライブラリー内でも再現良く検出できることを確認した。さらに10化合物において心筋分化促進効果を認めたが、いずれもCsAより強い活性は認められなかった。3化合物がCsAと相加的な作用を有していることを見出しており、現在さらなる解析を行っている。 次に、早稲田大学中尾洋一准教授より海洋無脊椎動物抽出物ライブラリーの供与を受け、同様のスクリーニングを実施した。未分画サンプル約800のうち、6サンプルにおいて心筋分化促進効果を見出した。2サンプルは精製を行い、同一の分子量を持つ化合物であり、現在、最終的な構造決定を行っている。また、残りの4サンプルについても分画・精製を行い、構造決定を進めている。 また、マウスESC由来の心筋(ESCM)を用いて心筋増殖を促進する化合物の探索を行った。既に心筋の増殖への関与の知られる2種類の阻害剤に加えて、新たに2種類の化合物が心筋の増殖を促進することを見出した。ESCMは分化後早期にその増殖能が失われるが、これらの化合物の投与により心筋を2-3倍に増殖し、さらに組み合わせることによって、5倍以上に増殖させることが可能である。現在これらの化合物の分子標的を同定し、下流のシグナル経路の解析を行っている。 本年度の研究によりマウスES細胞からの心筋の分化・増殖を促進させる複数の化合物を同定した。これらの化合物はヒトiPS細胞からの心筋分化・増殖にも関与しているという結果が示唆されており、ESC/iPSCを用いた心臓再生治療実現において重要な結果であると考えられる。
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Research Products
(7 results)