2010 Fiscal Year Annual Research Report
血栓予知技術の確立へ向けた無侵襲血液状態検出システムの開発
Project/Area Number |
09J00189
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大島 志織 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 生体モニタリング / 近赤外光計測 / プレ血栓 / サイバニクス / 医用工学システム / 無侵襲計測技術 / 光伝播シミュレーション / 血液情報 |
Research Abstract |
深刻な疾患を引き起こす血栓を非侵襲的に予知する技術の確立を目指して研究を実施した。検出すべき血栓の前触れとなる状態を「プレ血栓」と定義し、近赤外光を用いて血液に接触せずに検出する手法の提案及び手法に基づく光センサと血栓予知システムの開発を行った。プレ血栓として、高い赤血球濃度(ヘマトクリット値)、赤血球の凝集した状態、血中を浮遊する微小血栓(栓子)の3指標を挙げた。研究実績は以下の通りである。1.これまで提案・開発してきた光理論、血中光伝播シミュレータを利用し、上述の3指標の変化が及ぼす受光強度の変化を明らかにした。2.チップ型LED、フォトダイオードを有する小型光センサを開発した。個体別にキャリブレーションを必要とせずにヘマトクリット値を算出するための2波長・各2受光点、赤血球凝集による光強度の上昇を計測可能な特異な受光点、突発信号として現れる栓子を検出するために必要な周波数を同時に満たすように設計した。3.光センサから得られる信号からリアルタイムに3指標の推定を行い、ディスプレイ上及びサウンドで提示を行う血栓予知システムを開発した。4.開発したシステムの評価のために、意図的に血栓形成過程を生成した牛血液を循環させ、開発した光センサをチューブ上に取り付けて連続計測を行った。この結果、赤血球凝集に由来する光強度上昇を提示した後、栓子の浮遊を血栓発生前に音で警告できた。5.皮膚からの計測可能性を評価するため、実験協力者5人に対し、光センサによって指先で計測されたヘマトクリット値と血液検査との結果比較を行った。この結果、計測値と血液検査値の差は平均1.8%以内であった。今後、更なる臨床実験が望まれる。
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Research Products
(7 results)