2011 Fiscal Year Annual Research Report
ブラックホールと中性子星との合体に対する一般相対論的研究
Project/Area Number |
09J00234
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久徳 浩太郎 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 一般相対論 / 重力波 / ブラックホール / 中性子星 / 数値相対論 / 宇宙物理 |
Research Abstract |
ブラックホール・中性子星連星が合体する際の重力波はアメリカのLIGOや欧州のVIRGO、さらに日本のKAGRAなどの重力波検出器にとって最も有望な重力波源と考えられている。この連星の合体時に中性子星がブラックホールの潮汐力場により潮汐破壊される場合は、重力波が中性子星の性質を強く反映するため、重力波観測によって中性子星の性質や核密度及びそれ以上の密度の状態方程式の性質を調べることが可能になる。また、潮汐破壊に伴って形成される降着円盤が十分な質量を持っていればガンマ線バーストの発生が期待でき、質量放出が多ければr過程元素合成や付随する電磁波放射の起源天体としても期待でき、それらの面からも中性子星の潮汐破壊は重要な研究対象である。本研究では数値相対論によるシミュレーションを通じ、定量的に潮汐破壊や重力波の計算を行ってきた。特に本年度は数値相対論によって計算された重力波を用いて、実際の重力波観測での中性子星の性質の決定精度に付随する誤差を、重力波解析の標準的な手法であるFisher解析と組み合わせて計算した。その結果、今後数年で稼働する予定のAdvanced LIGOの感度では1km程度、さらにその次世代の計画であるEinstein Telescopeでは0.1km程度の精度で中性子星の半径が決定できることがわかった。理論モデルに伴う系統誤差が重力波では少ないと考えられるので、これは現在の電磁波観測よりも精度が良い制限である。また、連星の合体時に熱的な効果が重力波や降着円盤、質量放出に対してどのような影響を及ぼすかについても系統的に熱的な効果の強さを変えた計算を行い、現在結果をまとめて論文として投稿準備中である。
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Research Products
(9 results)