2009 Fiscal Year Annual Research Report
サル第一次運動野損傷後のトレーニングにより生じる神経システムの再構築
Project/Area Number |
09J00246
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
肥後 弓 (村田 弓) National Institute of Advanced Industrial Science and Technology, 脳神経情報研究部門, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精密把握 / 運動野 / 巧緻動作 / 運動訓練 / 脳機能イメージング / リハビリテーション / 皮質脊髄路 / 機能回復 |
Research Abstract |
脳損傷後の運動訓練が上肢の機能回復に及ぼす効果を、"行動解析""陽電子放射断層撮影(PET)を用いた脳活動イメージング"および"薬理学的手法"の3つの手法を相補的に用いることで、解明したいという目的で本研究を実施した。実験ではモデル動物にヒトと脳筋骨格構造が類似しているサル使用し、第一次運動野指領域に薬物による不可逆的な損傷を作成した。損傷の前と後に、母指と示指の先端を対立させて小さな物体を把握する「つまみ動作」を行っている時の脳血流をPETを用いて測定した。その結果、損傷前は精密把握の動作中に、第一次運動野に血流上昇が認められたのに対し、脳損傷後につまみ動作が回復した損傷後1~2ヶ月後は両半球の運動前野腹側部に損傷前と比べて有意な血流上昇が認められた。この結果から、第一次運動野損傷後のつまみ動作の機能回復に関連して、運動前野腹側部において第一次運動野の機能を代償するような可塑的な変化が生じた可能性が示唆された。また、薬物によって神経活動を一時的に抑制する手法を使用し、損傷後につまみ動作が回復した時期に第一次運動野の上肢領域の機能を抑制すると回復していた運動麻痺が再び生じた。この結果から、機能回復に第一次運動野の損傷周辺の領域が関わっている可能性が示唆された。これらの結果は脳損傷後の機能回復のメカニズムや機能回復への運動訓練の影響を解明するための神経科学の知見として有益であると考える。
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Research Products
(2 results)