2010 Fiscal Year Annual Research Report
薄膜の表皮効果を用いた銅配線の低抵抗化と信頼性向上
Project/Area Number |
09J00258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小濱 和之 京都大学, 工学研究科., 特別研究員(DC2)
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Keywords | Cu配線 / 拡散バリア / LSI / Cu(Ti) / 自己形成 / 4点曲げ / 密着 / 薄膜 |
Research Abstract |
本年度の研究では、Cu(Ti)合金膜と絶縁膜の界面の自己形成バリア層の微細構造を詳細に解析し、自己形成バリア層が高いバリア性を有する原因を解明する研究に取り組んだ。XPSによるバリア層の解析で、これまで同定されていたTiCやTiSiの結晶相の他にアモルファスTi化合物の形成が観察された。TiCとTiSiはバリア層中でCu(Ti)合金膜に近い側に形成され、アモルファスTi化合物は絶縁膜に近い側に形成されていた。また、バリア層の大部分(50~95%程度)はアモルファスTi酸化物で構成されており、それはCu(Ti)合金膜と絶縁膜の界面に連続的に形成されていることが示唆された。一般にアモルファス化合物は結晶粒界を持たないことから結晶に比べて物質の拡散を抑制する性質があり、自己形成バリア層中でアモルファスTi酸化物が連続的に形成されていることが、十分なバリア性を示す一つの要因であると考えられる。 一方、バリア層自己形成法を応用して、Cuと絶縁膜の界面密着力を向上させる研究も引き続き行った。本年度の研究では、熱処理後の試料について、4点曲げ法により密着力を測定した。その結果、「絶縁膜/バリア層」または「バリア層/Cu(Ti)合金膜」のいずれかの界面で理想的に剥離した試料と、絶縁膜もしくはエポキシ樹脂が破壊した試料が観察された。理想的な剥離が起こった試料では、従来のTaやTaN等のバリアを用いた試料の界面密着力よりも、大きな密着力を示すものがあった。このことから、バリア層自己形成法を用いることで、密着力向上の可能性があることがわかった。また、それ以外の試料では、「絶縁膜/バリア層」および「バリア層/Cu(Ti)合金膜」の界面密着力が十分大きかったため、絶縁膜もしくはエポキシ樹脂が破壊したと考えられる。これらのことから、バリア層自己形成法がCuと絶縁膜の密着力向上に有効であることがわかった。
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Research Products
(12 results)