2010 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫発育を制御するステロイドホルモン生合成調節機構の解明
Project/Area Number |
09J00268
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
島田 裕子 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 昆虫 / ショウジョウバエ / 脱皮 / 変態 / 前胸腺 / エクジソン / ステロイドホルモン / 発生学 |
Research Abstract |
多細胞生物の発生プログラムは、外環境に応じて柔軟に変化し、発生段階ごとに適切に調節される形で進行する。例えば昆虫類では、光周期、温度変動、個体の栄養条件に応じて分泌される様々な液性因子によって、個体の発育や生理機能が適応的に調節されることが知られている。しかしその一方で、それらの複数の液性因子からの入力を個々の細胞レベルで統合し、個体レベルでの発育や生理状態を調節する分子機構の理解は大きく立ち後れている。 本研究は、昆虫の脱皮と変態を制御するステロイドホルモンであるエクジソンの生合成を外環境依存的に調節する分子機構を明らかにする目的で、エクジソンの生合成器官である前胸腺において機能する膜受容体を探索し、その機能解析を行うものである。今年度は、キイロショウジョウバエのゲノム上で膜受容体をコードすると予想されている約300個の遺伝子について、個々の機能を前胸腺で低下させる実験を行った。その結果、ショウジョウバエ幼虫の成長が停止する、成長速度が遅れる、蛹化しない等の致死性の表現型が観察された。そこで第2次スクリーニングとして、それらの脱皮/変態が抑制された個体にエクジソン入りの餌を食べさせることによって、致死の表現型が復帰するかどうかを検討した。その結果、脱皮と変態に関与する有力な候補遺伝子約27個を得ることができた。これらの遺伝子の中には、従来前胸腺で機能するとの報告が無い生体アミン受容体や光受容体等が含まれていた。 来年度は、前年度に引き続いて、前胸腺で機能する膜受容体候補遺伝子の機能解析を行う予定である。
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Research Products
(2 results)