2009 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンのミンドロ島にのみ生息する絶滅危惧水牛タマラオ保全のための研究
Project/Area Number |
09J00274
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石原 慎矢 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 種判別 / シトクロムb / PCR-RFLP / カラビテ山 / マンギャン |
Research Abstract |
・シトクロムb・PCR-RELP法を用いた種判別 タマラオの大部分が生息するとされるイグリットバコ国立公園にて採取された糞便サンプルからDNAを抽出・精製し、水牛特異的なプライマーを用いて種間の判定に用いられるミトコンドリアDNA上のシトクロムb配列をPCR法にて増幅した。さらにシークエンス法にて塩基配列を読み、データベース上にあるタマラオのシトクロムb配列と照らし合わせることで糞便から採取したDNAがタマラオ由来であるかどうかを確認し、さらにタマラオと在来水牛の塩基配列の異なる部位に作用する制限酵素を選別、用いることでタマラオ・フィリピン在来水牛を区別する技術を開発した。この技術の完成によって、より簡便、かつ客観的にタマラオの存在を証明することが可能となる。またこの結果をまとめた論文をAnimal Science Journalに投稿し採択された。この研究の過程でタマラオのシトクロムbにおける塩基変異を新たに発見し、その配列はDDBJに新たに登録された。(Accession No.AB526220) ・カラビテ山における現地調査 タマラオはミンドロ島内の、イグリットバコ国立公園、アルヤン渓谷、そしてカラビテ山の3か所のみに生息されるとされてきた。これまで、イグリットバコ国立公園、アルヤン渓谷では既に個体数う調査がなされ、タマラオの存在が認識されている。しかしながらカラビテ山について目撃情報はあるものの、正確な科学的調査が行われていない状態であった。そこで、これまでの現地住民の目撃情報をもとにカラビテ山に調査エリアを設定し、現地個体数調査を行った。6日間の生息調査(植生調査および足跡、糞、食痕などの痕跡調査など)および近辺の土着民族であるMangyan(マンギャン)にタマラオに関する聞き取り調査を行った。調査の結果、カラビテ山におけるタマラオ個体そのものが発見できなかったものの、タマラオ由来と思われる糞の採取に成功した。この調査によって、ミンドロ島内すべてのタマラオ生息域を調査したことになり、ミンドロ島内での包括的な保全対策が可能となった。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Identification of tamaraw (Bubalas mindorensis) from outdoor-derived Fecal samples by PCR-RELP analysis of vytochrome b gene.2010
Author(s)
Shinya ISHIHARA, Rommel J.HERRELA, Daichi IJIRI, Hisashi MATSUBAYASHI, Miho HIRABAYASHI, Arnel N.DEL BARRIO, Rodel M.BOYLES, Medardo M.EDUARTE, Ronilo L.SALAC., Libertado C.CRUZ.,Yukio KANAI
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Journal Title
Animal Science Journal(2010年1月採択) (掲載掲定)
Peer Reviewed
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