2011 Fiscal Year Annual Research Report
フィリピンのミンドロ島にのみ生息する絶滅危惧水牛タマラオ保全のための研究
Project/Area Number |
09J00274
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石原 慎矢 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | タマラオ / 繁殖率 / 個体数変動 / 近絶滅種 |
Research Abstract |
フィリピンのミンドロ島にのみ生息する野生水牛タマラオ(Bubalus mindorensis)の大部分が生息するとされるイグリット-バコ国立公園にてタマラオの正確な個体数、健康状態および繁殖状況を把握するとともに、保全・増殖計画の基盤情報として必要な行動特性の解明を目的とし、2011年の4月に現地において調査を行った。本調査によってイグリット-バコ国立公園内に274頭のタマラオが生息していること、大部分のタマラオが群れを形成し、一部のオスについては単独行動をしていること、さらにこれまでに蓄積したデータと合わせて6年間に渡るタマラオの個体数変動を解析したところ、全体個体数は6年間に渡り安定していることが明らかになった(6年間のタマラオ個体数成長率は4.4%)。さらに観測されたタマラオを推定5歳以上の成獣、推定2歳から5歳未満の若齢、推定1歳未満の当歳個体に分類し、さらに成獣および若齢個体については性別をオス、メス、判別不能に分類した。このデータに基づきタマラオの繁殖率を算出したところ25.7±2.8%から29.6±3.3%であり、他の野生動物種と比較しても低くない繁殖率であることが明らかとなった。しかしながら、成獣個体数は雄雌合わせて150頭と少なく、依然として国際自然保護連合の定める最も絶滅の危険性の高い種である近絶滅種(Critically endangered)の範疇にあることが明らかとなった。これらのデータは今後のタマラオ保全計画の策定に必要不可欠な情報である。 これらのデータを合わせ、現在論文執筆中である(4月中投稿予定)
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Research Products
(2 results)