Research Abstract |
本年度は,昨年度に基礎理論を構築した「チコノフ正則化法を用いたレベルセット法に基づくトポロジー最適化法」の拡張とマルチフィジクス問題への展開を行った.トポロジー最適化は物理的,数学的に最適な形状を創成設計することが出来るが,空隙を内部に持つ物体領域等,得られる最適構造が,製造が極めて困難である場合が多い.そこで本年度は,この問題を解決する方法として,チコノフの正則化法の考え方を拡張し,等断面形状制約を考慮したトポロジー最適化法の定式化を行った.すなわち,正則化テンソルを定義し,正則化テンソルを基づく正則化項を導入した.さらには,その方法を超音波トランスデューサの設計問題に適用し,その妥当性と有効性の検証を行った.これにより,MEMSデバイスの製造段階をも考慮した最適な形状を創成設計することが可能となった. また,マルチフィジクス問題として,熱構造連成問題への展開を行い,数値解析例により方法論の有効性と妥当性を示した.さらには,構造の幾何学的非線形を考慮するために,粒子法を用いた方法論への拡張も行った.本年度は,エンドコンプライアンス最小化問題に適用し,その方法論が有効であることを示す事が出来た.なお,エンドコンプライアンス最小化問題は,非自己随伴問題であるが,粒子法を用いた場合においても,非自己随伴問題に適用できるをことを示すことが出来た. 以上の研究成果から,幾何学的大変形を考慮したマルチフィジクス問題に対するトポロジー最適化法の基礎理論を構築することが出来た。
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