2009 Fiscal Year Annual Research Report
地層処分環境下におけるアクチニド溶液化学反応の解明と溶解度の評価
Project/Area Number |
09J00311
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 大志 Kyoto University, 原子炉実験所, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ジルコニウム / トリウム / 溶解度 / 加水分解 / 錯生成 / 有機酸 |
Research Abstract |
放射性廃棄物の地層処分の安全性評価に資することを目的として、本年度は有機酸を含む水溶液中における4価ジルコニウム(Zr)およびトリウム(Th)の溶解度に関する研究を行った。地下水中には金属イオンに配位可能な様々な有機配位子が存在しており、特に多座配位可能な有機酸は、放射性核種とキレート配位することで強く相互作用するため、地下水中における放射性核種の移行挙動に大きな影響を及ぼすと考えられる。溶存種の粒径分布測定を行い、2座キレート配位が可能なシュウ酸およびマロン酸が過剰に存在する場合は、ZrおよびThの有機酸錯体の形成によって多核加水分解種やコロイド種の生成が抑制されることを見出した。また、酸性pH条件下では、有機酸錯体の固相が生成される場合があり、元素分析や熱分析などの手法を用いて固相の組成を推定した。その結果、酸性条件下で生成したZrとシュウ酸、マロン酸の固相は、OHを含むZr-OH-C2x(C2x:シュウ酸、マロン酸)の3元系の固相であることが示唆された。一方、Thの場合、シュウ酸とは2元系の固相を形成すると考えられた。これに対して、中性pH条件下で生成した固相の組成はいずれの場合も水酸化物に近いものであった。固相分析の結果に基づき、固相の溶解度積を求めた結果として、特にジルコニウムの場合の溶解度積はシュウ酸とマロン酸でほぼ同じ値であることを見出した。この結果は、これらの固相ではシュウ酸やマロン酸が単座で2つのZrを架橋している可能性があることを示しており、固相の形成過程を明らかにする上で重要な知見である。
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Research Products
(6 results)