2010 Fiscal Year Annual Research Report
地層処分環境下におけるアクチニド溶液化学反応の解明と溶解度の評価
Project/Area Number |
09J00311
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 大志 京都大学, 原子炉実験所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジルコニウム / トリウム / 溶解度 / 錯生成 / 加水分解 / 固相 |
Research Abstract |
放射性廃棄物処分の安全評価に資するため、放射性核種として廃棄物に含まれる4価アクチニドおよび4価金属イオン(Th,Zr,Tc)の溶解度に対する有機酸の影響、溶存種および固相の長期安定性、異なる酸化状態を取り得る核種(Tc)の酸化還元挙動について検討した。2つのカルボキシル基間のアルキル鎖長が異なるジカルボン酸存在下でのTh、Zr溶解度および溶存種の粒径分布を測定したところ、コハク酸のようにアルキル鎖長が長い場合、Th、Zrに配位する際の嵩高さが大きく、加水分解が優位になると考えられた。一方、加水分解の影響が小さい酸性pH下では、アルキル鎖長の短いシュウ酸と同様、Th、Zrと溶解度制限固相を形成した。同様の実験をcis型、trans型のジカルボン酸を用いて行ったところ、フマル酸(コハク酸のtrans型)のみThと固相を形成したことから、ジカルボン酸が2つのTh、Zrを架橋することで、固相が形成されると考えた。一方、アモルファスZr水酸化物を初期の固相とし、溶解度測定実験を90℃の温度条件下で行うことで溶存種や固相の変化を加速させたところ、2~3週間後の溶解度は、25℃の場合と比較して大きく低下した。また、溶存種(コロイド種)が大粒径側へ成長すると共に、アモルファス固相がより結晶化度の高い酸化物ZrO_2(s)へ変化していることが観察された。これらの知見は放射性核種の溶解度評価上重要な固相の形成過程を明らかにするものである。さらに、地下水環境中で異なる酸化状態(4価および7価)を取るテクネチウム(^<99>Tc)に着目し、様々なpHおよび酸化還元電位(E_h)条件下におけるTc(VII)/Tc(IV)の酸化還元挙動が熱力学データで表せることを実験的に示すと共に、Th、Zrで得られた知見に基づき、4価Tcの溶解度を求め、その定量的な解釈を行った。
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Research Products
(3 results)