2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00324
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大原 啓志 Osaka University, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | Cr含有疎水性シリカ / 可視光光酸化 / シクロアルカンの部分酸素化 |
Research Abstract |
本研究では、可視光応答型光触媒による選択的かつ効率的な有機合成反応の開発を目的としている。これまでに、可視光により活性化された単核のCr酸化物種がシクロヘキサンからシクロヘキサノンへの部分酸化に対して有効であることを見出している。本研究では、触媒表面を疎水化することにより、Cr酸化物種へのシクロヘキサンのアクセスを促進し、触媒活性を向上させることを目指した。 有機シラン(1,2-bis(triethoxysilyl)ethane)、無機シラン(tetoraethylorthosilicate)およびCr(NO_3)_3を前駆体とし、ゾルゲル法によりCr含有疎水性シリカ(Cr-OS)を合成した。本触媒を用いて、可視光によるシクロヘキサンの光酸素化反応を行うと、有機シランを用いずに合成した触媒(Cr-S)の約2倍の活性を示すことを明らかにした。 触媒単位表面あたりのシクロヘキサンの単分子層吸着量q_<CHA>は触媒の活性一致した挙動を示した。これは、触媒への有機基の導入により、シリカ表面の疎水性が増加するためである。ESR測定を行ったところ、本触媒では触媒上の光励起したテトラヘドラル種(T_d^<4+*>種)が活性種であることが分かった。シクロヘキサン存在下で光照射を行うと、Cr-OSでは[CHA-T_d^<5+>]錯体に起因するシグナルがCr-Sよりも強く出現した。これは、表面が疎水化されたCr-OS上で、光還元されたT_d^<4+>種へのシクロヘキサンのアクセスが促進されていることを示している。反応は[CHA-O_T^-]錯体が分子状酸素により直接酸化されることにより進行する。このため、[CHA-O_T^-]錯体を形成しやすいCr-OSが高い活性を示すと考えられる。また、本触媒はシクロヘキサン以外の環状アルカンの部分酸化も撰択的に触媒する。
|