Research Abstract |
本研究は,東京大都市圏での調査を行い,東京大都市圏におけるマンション供給とマンション購入者の特徴を明らかし,以下の仮説を検証することを目的とした.まず,1990年代後半以降にマンション購入者が増加してきたが,彼らの居住意識の面では,戸建住宅志向が主流であった時代の価値観とは異なる世帯が多いと考えられる(仮説1).さらに,マンション供給者は,比較的早期から非標準世帯をターゲットに取り込む戦略をとってきたことで,所有住宅市場におけるマイノリティであった世帯を対象とする物件が増え,これらの世帯が重要な需要者となっている(仮説2).さらに,各世帯によってマンション購入の意思決定過程は異なるものの,世帯特性によってその意思決定過程を説明しうる要因が存在している(仮説3).本研究の目的を遂行するため,まずマンション供給に関する調査を実施した.マンションディベロッパーの供給戦略の変遷を資料分析および不動産業者への聞き取り調査から明らかにし,都心部での居住機能の高まりに関するマンション供給的側面をまとめた.マンション供給に関する研究成果は,日本地理学会春季学術大会に於いて発表し,地理学評論に投稿中である. 次に,マンション居住者調査を実施した.まず,幕張ベイタウンにおいてマンション居住者調査を実施した.本調査は,人文地理学会大会において発表するとともに,人文地理に速やかに掲載された.また,修士論文で行った調査を拡大し,東京に近接する地方都市におけるマンション需要が旧来の日本の住宅慣習の影響を強く受けていることを明らかにし,Conference on Family, Migration and Housingにて発表するともに,Tsukuba Geoenvironmental Sciencesに掲載された.さらに,東京大都市圏におけるマンションを含む住宅地の持続性に関する調査を成田ニュータウンにおいて実施した.本調査は,日本地理学会秋季学術大会において発表するとともに,地理学評論英文誌に投稿中である.
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