2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J00360
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 武志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 炭化ケイ素 / SiC / 平坦化加工 / エッチング |
Research Abstract |
近年,地球温暖化が深刻な問題となっておりパワーデバイスの低損失化が求められている,炭化ケイ素(SiC)は各種物性値が優れており,低損失パワーデバイス用基板材料として注目されている.SiCは高硬度化学的に安定という性質から基板の平坦化加工が困難である.我々はこれまでにSiC基板の平坦化加工技術である触媒基準エッチング法(CARE)の開発を行い,原子レベルで平坦かつ表面結晶の良好な表面の作製に成功している.本年度は(1)光照射の援用による加工速度の向上と(2)加工メカニズムの解明とフッ化水素酸濃度の低濃度化を目的とし研究を行った. 1.光照射の援用による加工速度の向上 本加工法はステップ端からエッチングが進行するため,加工速度はステップ密度に依存する.そこでテラス上に微小なピットを作製することによってエッチングの起点を増加させ加工速度の向上を検討した.ピット作製には紫外線照射による光エッチングを用いた.フッ化水素酸溶液中で4H-SiC on-axis基板に紫外線を約10秒照射することでテラス上に極小さなピットを形成することに成功し,ピットのある表面を2分間加工することで再びステップテラス構造を持つ表面を作製出来た.これにより加工速度は1nm/hから約10nm/hにまで向上させることが出来ることがわかった. 2.加工メカニズムの解明とフッ化水素酸濃度の低濃度化 本加工法は非常に危険なフッ化水素酸を用いており,低濃度化が求められている.そこで添加剤として比較的安全なフッ化カリウムを検討した.フッ化水素酸のみで加工を行った場合,HF濃度が15mol/Lの時,加工速度は約10nm/hであったが,2mol/Lのフッ化カリウムを添加することにより加工速度は30nm/h以上に増加することがわかった.この結果よりフッ化カリウムの添加により加工速度を増加させることが出来ることがわかった.また加工速度は([F-]+[HF2-])×[HF]の値に比例することもわかり,F-,HF_2-イオンとHF分子の両方がエッチングに寄与していることもわかった.
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