2010 Fiscal Year Annual Research Report
多成分入力地震動を受ける建築構造物の極限外乱理論とその建築構造安全性評価への応用
Project/Area Number |
09J00364
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 皓平 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 極限外乱問題 / 多成分入力地震動 / コヒーレンス / パワースペクトル密度関数 / 不確定性解析 / 区間解析法 / ロバスト最適化 / 地震時限界応答 |
Research Abstract |
本年度における主たる研究成果は以下に挙げる2点に集約される。 1.年次計画で提示した事項に基づき,水平2方向同時入力における成分間の相関性が構造物の応答に及ぼす影響について実験的な検証を行った。クロススペクトル(CSD関数)は,異なる二つの時系列データ間の位相角の情報を振動数領域で表わしたものであり,一方の入力外乱の時系列波形(水平2方向入力におけるX方向に関する入力)が既知であれば,本極限外乱理論により得られる最悪なCSD関数を適用することで最悪な他方向の時系列波形を決定することが可能である。本年度に実施した実験では,入力波形を供試体の固有振動数と近傍の卓越周波数を有する正弦波を対象として本極限外乱理論により得られる最悪な位相特性を有する水平2方向入力とした。各方向の応答はほぼ同時刻で最大となっており,部材応力に対してクリティカルな入力となっていることを確認し,本極限外乱理論およびその適用法が有効であることを実証した。 2.これまで粘弾性ダンパーを対象とした上で,ダンパーの層方向配置及び支持部材剛性を設計変数とし,極限的な入力に対する最適設計問題を展開してきた。しかしながら,ダンパーや各部材の剛性,減衰係数には少なからずばらつきを有するため,構造物が設計時に想定した性能を有するかどうかは定かではない。そこで,本年度では,構造物パラメターの不確定性に対する構造物の地震時応答のばらつきを評価するTaylor展開に基づく新しい区間解析法を構築した。Taylor展開により目的関数を近似する際には,不確定パラメターに対する目的関数の勾配ベクトル及びHessian行列が必要となる。本提案手法では,これらの各次の感度を評価する点を順次変更していくUpdated Reference Point法(URP法と呼称)を提示し,URP法の妥当性を数値シミュレーションにより確認した。
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Research Products
(8 results)