2009 Fiscal Year Annual Research Report
新型インフルエンザ対策に向ける中国農村部の住環境とサーベイランスの空間的解析
Project/Area Number |
09J00376
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蓋 若エン The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 中国 / 農村 / 地域保健医療計画 / 新型インフルエンザ / 公共健康危機 / サーベイランス / 地理情報システム |
Research Abstract |
本研究は、農村部が中国の保健医療システムの最も弱い一環であり、サーベイランス整備と新型インフルエンザ対策が立ち遅れることに着目し、今後保健医療領域における広範な応用が期待されるGISを利用して、疫学と社会科学の視点から中国農村部の住環境とサーベイランスの全体像を考察することによって、中国保健医療改革に重要な課題の一つである健全な公共衛生体制の構築に貢献することを目標としている。本年度の研究活動は農村部の公共健康管理に関する地域保健医療計画とサーベイランス能力の解明と評価をめぐって展開した。具体的には、まず、山東省済南市周辺の農村地域において、人口密度及び面積、各レベルの保健医療施設・実験室・人的資源の配置、リファラル体制、公共健康危機に向ける医薬品及び必要物資の備蓄と配分、省・市・県各レベルのCDCに対する国及び地方の財政投入、農村部住民への予防啓発活動の実施と普及、過去流行病の爆発及びその時の措置などの二次データを省・市・県各レベルのCDCから収集し、地理情報システム(GIS)を利用してマッピングした。また、ジニ係数とロレンツ曲線を用いて、山東省の省・市・県各レベルのCDCのインフラ及び人的資源の配置の人口的及び地理的公平性についても検討した。さらに、農村部のパンデミック準備と公共健康管理の現状を把握するために、農村部にもっとも密着する県レベル(county)のCDCの公共健康危機応対能力の評価指標について、2セットのDelphi法による専門家へのアンケート調査を行った。この研究結果は農村部の新型インフルエンザ対策を含む地域保健医療計画の設定と地域レベルの公共健康危機応対能力の向上に役立つと思われる。
|
Research Products
(2 results)