2009 Fiscal Year Annual Research Report
希土類リン酸塩のプロトン伝導ならびに相変態挙動の解明に基づく新規固体電解質の開発
Project/Area Number |
09J00397
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑田 直行 Kyoto University, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 結晶育成 / ドーピング / 固体電解質 / プロトン伝導 / 燃料電池 |
Research Abstract |
Sr-doped LaP_3O_9およびLaPO_4はプロトン伝導性を示し、中温域で動作する燃料電池の固体電解質として期待される。しかし、燃料電池として実用的な出力密度を得るためにはプロトン伝導率の向上が必要であり、そのためにSrドープ率の向上やプロトン伝導経路の解明が望まれる。しかし、Srドープ率の上限値はLaP_3O_9で5%以下、LaPO_4で約2%と報告されており、他のプロトン伝導体へのドーパント濃度に比べて低い水準である。また、プロトン伝導経路の解明のためには粗大な結晶粒を持つ多結晶試料や単結晶試料が必要であるが、そのような試料の合成法は確立されていない。 本研究では、一般的な合成法である固相合成法にかわり、リン酸溶液からの析出によりSr-doped LaP_3O_9およびLaPO_4の合成を試み、析出挙動とSrドープ率を調査した。種々の温度・水蒸気分圧で合成を行った結果、合成条件によって析出するリン酸塩の種類、Srドープ率および結晶サイズ等が大きく変化することがわかった。LaP_3O_9へのSrドーピングに関しては、過去に報告されたドープ率上限値の2倍となる9.6%のSrドープに成功した。また、LaPO_4でも同様に6倍以上となる13.4%のSrドープに成功した。13.4%のSrがドープされたLaPO_4を1200℃の高温で熱処理すると第二相としてSrのリン酸塩などが生成したことから、高濃度のSrドーピングを行うには低温合成が適していることが明らかになった。これはLaリン酸塩のプロトン伝導率向上につながると期待される成果である。また、合成条件によっては、1mm程度の大きなLaP_3O_9結晶も合成できることがわかった。今後、粗大な結晶の合成条件を確立するとともに、合成された試料を使用してプロトン伝導経路の調査を行うことを目指す。
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Research Products
(4 results)