2009 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体デバイスを用いた直接観察による単一基質へのコロイド沈着過程の解析
Project/Area Number |
09J00405
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
日下 靖之 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | コロイド粒子 / 沈着 / マイクロ流体 / 沈着体破壊 / 移流拡散 / 付着力 / 粒子間相互作用 |
Research Abstract |
土・水環境中における有害ナノ粒子の拡散やコロイド促進輸送など、多孔質中のコロイド動態を把握することが重要となる問題は多い。本研究ではコロイドの輸送特性のうち沈着現象に焦点を当て、沈着過程に及ぼす様々な流体力学的・物理化学的要因をミクロスケールで解明することを目的とした。本年度はマイクロ流体チャネル内にデザインした円柱基質に対するコロイド沈着過程の実験的検討およびその数値モデリングを主な実施内容とした。主な成果は以下の通りである。円柱基質に対して形成された沈着体構造はコロイド粒径や流速によって大きく変化したが、その決定メカニズムとしてコロイド沈着様式のみならず流体力による沈着粒子の脱着が重要であると考えられること、また一定程度成長した沈着体はその構造に依存して雪崩様に浸食される場合や分裂破壊を起こす場合など破壊パターンに差異が見られることなど、カラム試験のようなマクロスコピックな実験系では直接明らかにすることが難しい現象が観察された。また沈着体の成長する速度についても検討したところ、沈着速度はイオン強度の増加とともに上昇し、その傾向は既往の研究と一致するものであったが、臨界沈着濃度は流量条件に依存した。臨界沈着濃度については従来DLVO理論から計算されるエネルギー障壁の有無に依拠した説明がされていたが、沈着体の破壊試験と併せて検討したところ、高流速条件下では沈着と同時に沈着体破壊も起こっていると考えられ、沈着体の破壊強度を決定付ける主要因のひとつであるコロイド間付着力が見かけの臨界沈着濃度に影響を与えていることが示唆された。
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