2009 Fiscal Year Annual Research Report
生体内におけるRNA結合タンパク質Stau1の筋分化抑制機構の解析
Project/Area Number |
09J00406
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山口 由輝男 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | RNA結合タンパク質 / Staufen / 筋分化 / Dishevelled / mRNA安定性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生体内でのStau1による筋分化抑制機構の解析を通して、前駆細胞が増殖するプロセスにおける増殖・分化のスイッチの分子機序の解明することである。まず、Stau1による筋分化抑制の分子メカニズムを解明する。次に、Stau1欠損マウスの作成を行い、生体内の筋分化過程におけるStau1の機能を解析する。平成21年度は、筋芽細胞C2C12の筋分化系をもちいて、Stau1による筋分化抑制機構の詳細なメカニズムの解析を行った。Stau1の免疫沈降物中に含まれるmRNAのとしてDVL(dishevelled)が報告されている。DVLは筋幹細胞で発現が高く、DVLが関与するplanar cell polarity(PCP)経路は筋幹細胞の増殖に寄与している。以上のことから、Stau1がDVLの発現をmRNAレベルで制御することによって筋分化を抑制しているのではないかと考え解析を行った。Stau1ノックダウン細胞においてDVLの発現を検討したところ、コントロール細胞と比較してDVL2の発現が顕著に低下していた。Stau1ノックダウン細胞では筋分化転写因子であるmyogeninの発現が上昇し筋分化が進行した。一方、DVL2を恒常的に発現している細胞では、Stau1ノックダウンによるmyogeninの発現上昇は抑制された。したがって、Stau1ノックダウンによりDVL2が減少することが筋分化の進行する要因になっていることが示唆された。また免疫沈降実験から、Stau1はDVL2 mRNAの3'untranslated region(3'UTR)に結合していることが示された。さらに、筋芽細胞の分化過程の細胞抽出液を用いて、Stau1とDVL23'UTRとの結合を検討したところ、分化が進行するにしたがってその結合が減少していた。また、DVL2の発現は筋分化誘導後、顕著に減少した。したがって、分化誘導後にStau1がDVL2mRNAから離脱することによって、DVL2mRNAの安定性が低下することが示された。Stau1欠損マウスの作製も併せて行っており、作製が完了次第、解析を行っていく。
|
Research Products
(1 results)