2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲノム情報を利用した放線菌における非翻訳型RNAによる遺伝子制御機構の解析
Project/Area Number |
09J00412
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
手塚 武揚 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 放線菌 / 非翻訳型RNA / 遺伝子制御 |
Research Abstract |
本研究では、基礎生物学的にも工業的にも極めて重要な菌群である放線菌における非翻訳型RNAによる遺伝子制御機構の全容解明を最終目標としている。放線菌のシグナルネットワークに関する知見を拡大することは、抗生物質をはじめとする二次代謝産物生産の観点から、医学や工業といった実用に多大な貢献をもたらすものである。本年度は、放線菌Streptomyces griseusにおいて既に研究代表者が同定していた12の非翻訳型RNAすべてについて、それぞれの遺伝子破壊株を作製し、表現型の観察を行った。当初の予想に反して、いずれの破壊株においても放線菌の二大特徴である形態分化および二次代謝に劇的な変化は見られなかったが、これは非翻訳型RNAが標的遺伝子の発現においてマイナーチューニングを担っている可能性を示唆するものであった。一方で、ゲノム上には未だ同定されていない非翻訳型RNAが多数存在すると予想されることから、個々のRNAの機能にはかなりの重複があることも考えられる。こうした点については早急に検証し、今後の研究計画を練り直す必要がある。また、いくつかの破壊株については、DNAマイクロアレイを用いたトランスクリプトーム解析により発現量が変動している遺伝子が得られている。これらは非翻訳型RNAの標的遺伝子である可能性があり、今後in vitroでの解析を行うことで相互作用の確認や標的遺伝子の機能解析を行っていく予定である。また、非翻訳型RNAを解析する過程で、リボスイッチによる発現制御を受けていると予想されるいくつかの遺伝子が発見されており、これまで放線菌においてあまり解析されていなかったRNAによる多様な制御機構の一端が徐々に明らかとなりつつある。
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Research Products
(2 results)