2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト神経‐筋骨格系の階層的標準モデルの構築・データベース化・動態シミュレーション
Project/Area Number |
09J00416
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 康之 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 間欠制御 / PD制御 / 神経-筋骨格系 / 静止立位 / 数理モデル |
Research Abstract |
平成22年度は,主に神経系によるヒト身体運動制御メカニズムに関する研究を行った.この研究は,ヒトが立位姿勢維持を実現するために中枢神経系を介して行う制御メカニズムの解明を目的とする.ヒトの立位姿勢は,機械力学的に不安定である.これまでに,この立位姿勢の制御メカニズムに関する数多くの仮説が立てられ,主に矢状面内において運動する倒立単振子を利用して仮説の妥当性の検証がなされてきた.しかし,未だに十分な理解はされていない. この矢状面内を運動する倒立単振子によるモデル化は,ヒトの立位姿勢を十分に表現できないとの見解がある.そこで,3次元空間におけるマルチ剛体リンクモデルの構築を試みた.骨格形状により定まる各関節の回転自由度を考慮に入れたモデルの構築が可能となった.またヒトの立位姿勢は複数のリンクの結合系としてモデル化されるべきだとの見解がある.リンクの数が増えることにより,制御メカニズムは大変複雑化する.そこで矢状面内を運動する倒立二重振子モデルを構築し,マルチ剛体リンクモデルの中枢神経系を介したフィードバック制御メカニズムの解析を行った.倒立二重振子のジョイントは足関節と股関節に対応する.主な結果は以下の2つである.1.中枢神経系を介したフィードバック制御メカニズムとして,持続的なPD制御よりも間欠的なPD制御の方が立位姿勢を柔軟に維持することが可能である.2.股関節周りの筋群,骨格形状などに起因する粘弾性の大きさにより,立位姿勢維持に占める股関節制御,足関節制御の重要度の割合が変化する. 本研究で得られた結果は,ヒトの立位姿勢維持に関する知見を深め,シミュレーションによる解析と計測実験による知見の間隙を埋めるものである.この研究が進むことにより,高齢者や運動疾患患者の姿勢制御メカニズムの解明などへの発展が期待される.これらの結果は,雑誌論文,国内学会,国際学会において発表予定である.
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Research Products
(4 results)