2010 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性金属錯体の動的な集積挙動に基づく光機能の制御
Project/Area Number |
09J00436
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平 敏彰 東京工業大学, 資源化学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゲル / シクロデキストリン / ロタキサン / 超分子 |
Research Abstract |
遷移金属錯体の機能を活かすためには錯体分子を高度に集積しその機能を増幅する事が重要である。両親媒性化合物が形成する多様な分子集合体は構造が比較的柔軟であるので、これらに対しては分子集積に基づく機能発現のみならず動的挙動に基づく物性変化の制御が期待できる。本研究では両親媒性を有する遷移金属錯体が形成する分子集合体を研究対象とし、これらの動的特性と遷移金属錯体の光特性を組み合わせた新しい光機能性ソフトマテリアルの創製を検討した。 エチレンジアミンを支持配位子とし、2分子のN-アルキルビピリジニウム配位子がcisの位置関係で配位した軸状パラジウム(II)及び白金(II)錯体が濃度や温度、化学刺激などに応じて球状、棒状、二分子膜、インターロック構造など多彩な金属錯体集合体を形成する事を明らかにした。また軸状パラジウム(II)錯体とα-シクロデキストリンを高濃度で混合すると水溶液がゲル化する現象も見い出した。このゲルは配位結合の反応性によって相転移を精密に制御できる類例のない金属錯体集合体であった。また一連の金属錯体集合体の集合形態は可逆に変換可能であり、これを有機色素の吸収強度の変化、あるいは透過光の変化として検出する事に成功した。この光スイッチ機能は繰り返し性よく再現可能であり、色素の種類によって吸収波長を自在に変えられるといった特徴を有する。以上のように本研究では構造柔軟性を有する様々な金属錯体集合体を構築し、これらが集積状態に応じて多彩な分光学的性質を示す事を明らかにするとともに、その機能を動的に制御する事に成功した。
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Research Products
(3 results)