2009 Fiscal Year Annual Research Report
スピッツベルゲン島における不淘汰型多角形土の内部構造及び形成環境に関する研究
Project/Area Number |
09J00461
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
渡邊 達也 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 国際研究者交流 / ノルウェー / 永久凍土 / 地形学 / 物理探査 |
Research Abstract |
今年度は、北極圏ノルウェー領スピッツベルゲン島に所在するスバルバール大学に半年間滞在し、集中的な野外調査を実施した。不淘汰型多角形土の内部構造に関する調査では、3次元地中レーダー探査法を適用し、従来の2次元探査に比べ、より正確に内部構造を把握することができた。スピッツベルゲン島沿岸地域における調査では、より寒冷な気候を反映するアイスウェッジは離水年代の新しい段丘に分布し、過去の寒冷イベントにより多く晒された古い段丘面にその分布は認められなかった。同島沿岸地域はかってアイスェッジが形成しうる寒冷な気候条件下にあったが、堆積構造や積雪深などの局所的な違いによって、その分布が制約された可能性が土の粒度分析や地温観測データから考えられる。この成果に関しては、国際学会で発表を行い、現在、国際誌への投稿準備を進めている。形成環境に関する研究では、温度条件以外に不淘汰型多角形土の分布を制約する要因を解明することを目的に調査を進めた。他のタイプの構造土を比較対象に凍土コアの採取および分析、電気探査モニタリングによる表層モニタリング、トレンチ調査、土の物性試験などを実施した。さらに、自動観測装置を設置し地温、土壌水分、凍上量などの測定を開始した。電気探査モニタリングでは、電極間隔を20cmに設定したことで、融解の進行や、凍結期における不凍結水挙動の時間変化を2次元的に可視化することができた。今後、冬季の自動観測データを加味し、それぞれの構造土の形成条件が何によって制約されているのか検討を進めていく。
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