2010 Fiscal Year Annual Research Report
パレスチナ紛争の背景としてのシオニズムの世界観・秩序観に関する歴史社会学的研究
Project/Area Number |
09J00471
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
鶴見 太郎 立教大学, 文学部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | ユダヤ人 / シオニズム / ロシア帝国 / 歴史社会学 / ナショナリズム / 社会 / 世界観 / イスラエル |
Research Abstract |
今年度前半は、優秀若手研究者海外派遣事業により、エルサレム・ヘブライ大学で在外研究を行った。主に研究者との交流と資料収集、ヘブライ語力の向上に努め、それぞれ成果を得た。資料収集に関しては、今後の研究の要となるベルリン、次いでパリへと移転したシオニストのロシア語週刊誌『ラスヴェト』のすべて(1922年~1934年)の複写と重要記事抽出作業を完了した。また、ヘブライ語週刊誌『ハオラム』『ハポエル・ハツァイル』『クントゥル』等の収集も行い、イスラエルで集めるべき主要資料をほぼすべて収集することができた。具体的な分析作業については、来年度に本格的に取り組んでいく予定である。出発前にAssociation for the Study of Nationalityで、ロシア・シオニズムの民族観に関して発表を行い、それを基にした原稿が、学術書に所収されることになった。帰国後、つまり今年度後半は、5回にわたる学会・研究会発表により、自らの研究成果や今後の研究の方向性の精緻化に務めた。とりわけ、現在のイスラエルの政体「ユダヤ的かつ民主的国家」の起源の一つをロシア帝国に求めていくための準備作業にあたり、多民族国家としてのロシア帝国でのシオニストの経験が、シオニズム特有の民族・国家関係観の形成に寄与したことを示唆した。この点は来年度以降も継続し、ロシア・東欧史とイスラエル史、およびパレスチナ紛争史を、思想的な観点から接続していくことに務める。
|
Research Products
(9 results)